(248)ヒステリー球の想い出(後半)

世の中の出来事

最初のんびり構えていたのですが、わたくしは何か一つのことを真剣に考えると、今度はそれが非常に不安になってしまい、必要以上に心配になってしまったりすることがあるのですが、そのときもそれまではすごく脳天気で深く考えたこともなかったのですが、さすがに10個も単位落としたら、進級できない……ことは間違いないなと想像すると真実味ががぜん、増大して来ました

それから先回、前半の回に書いた自費出版などもしていたので、なぜか数学科の一人の教授が、わたくしのことを遊んでいるというか、いい加減に人生を考えているように思っていた様で(当たっている…( ゚Д゚)…)『お前には絶対単位は出さんぞ』というふうに厳しく公言されてしまったのです。全くもって授業は一生懸命やっていた(でもサボっているので、一生懸命やったとか言いづらいけど、内容に関しては数学大好きでしたから、一生懸命やっていました。どうして1教授にその様に嫌われたのか、全く不明です。誰か告げ口したのでしょうね。)

なので、そういうこともあって、本当に進級できない…卒業できない…未来が真っ暗という図式になり、不安いっぱいな精神状態に陥ってしまったのでしょうね。

それで、ある朝、大学に行こうと思って電車に乗ったときに、空いている席も無く立っていたら、本当に景色が、画家のムンクの描いた有名な絵画の”叫び”のようにゆらゆらし始めて(真剣に本当にそう見えた)そしてなんと自分の咽喉(のど)に直径30cmくらいの球が、本当に詰まっているように感じたのです。

確かにそんな球を飲み込んだ覚えも、もちろん無いし、突然咽喉にそんなものが生じる訳はないのですが、本当にありありとその感触があって、これはなんだ……と大驚愕で、自分は間違いなく何か病気になってしまったと思い、愕然としました

当時は、もちろんスマホとかそんな携帯電話すらもありませんので、本屋に寄って、そういうのどの病気などの1種かなと思って調べてみたのです。そうしましたら、それは『ヒステリー球』と呼ぶそうで、ヒステリー球という名前からすれば、何か女性が急に怒りまくってヒステリーになっちゃったみたいな、そういうイメージを持ちますが、そういう突発的な怒りとか、そういうものではないみたいなのですが、なぜか名前は『ヒステリー球』という風に命名されていて、咽喉に詰まった感じになると書かれておりました。

もう今では、昔日の何十年も前の話ですから、詳細は忘れてしまいましたけれども、ただそういうことがあって本当に不安な日々でした。やはり、“留年”するという事は真剣に恐ろしい事でしたので、日々意気消沈したままノイローゼ患者みたいに鬱(うつ)状態になって過ごしたことを覚えています

その時、もうわたくしは社交ダンス部に所属していましたので、ダンス部の先輩に、その悩みを話すと『内藤君、それは良い方法があるよ。 試験の時に答案の裏に1万円札を貼っておいて、それを先生に渡すようにすればいい』……というアドバイスとか、他の先輩が言うには、『孔子について述べなさい!という問題が出たけど、『中国の偉い人』と回答したら、試験合格したよ』などと本当に笑えてくるような、泣き笑いできるような恐ろしい『助言』で、めちゃくちゃな先輩ばかりでしたので、そういうアドバイスは、正直なところ、全然あてになりませんでした。

それに当時交際していた女性もいて、下世話(げぜわ)な話しでまことに申し訳ありませんが、その女性はひとつ年上の先輩でしたので、大学の寮に住んでいたのですが、その当時、1週間に1~2度は寮に泊まってHをすることが多かったのですが、本当にそのヒステリー球ができた時は、もう性欲もがた落ちで、本当に進級だけが恐ろしく大きな関心事になり、Hができるかどうか、愚息が勃(た)つかどうかまで神経が届かず、彼女ともベッドの中で全然だめだろうなと想像したのですが、わたくしは本来、色々な意味でエネルギーが有り余っているのか、それはなんとかうまくできたような感じがしております。【編集部註:そんなに鬱状態に陥っていても、Hはちゃんとできちゃったのね……】

とにかくヒステリー球というそういうものは恐ろしい感じでしたが、結局好い加減な性格もあってか、そういう先輩の明るい、心底とろくさいアドバイスのおかげで、鬱状態でも脳天気で、楽観的に考えて、事なきを得たのか、確かに4つぐらい単位を落としたのですが、無事に4年に進級できた覚えがあります。もう3年が終わりになった頃は、ヒステリー球が咽喉に詰まった感覚も全然忘れてしまい、普段の脳天気なわたくしに戻ってしまっていましたし、別に1年留年すれば、ダンスも勉強も1年余分にできて、それはそれで幸福じゃん!みたいな感じに開き直っていたように思います。

でも、やはりそういう風に強迫観念とか不安が強いとヒステリー球というものが生じるという貴重な体験ではありました。皆様はそういう体験はおありでしょうか?また、色々お聞かせください。 以上このトピックはこれで終わりです。いつもお読み戴きまことにありがとうございます

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