(289)インテリな幽霊はおらんのか?(第1回)

世の中の出来事

私は、皆様もご存じかもしれませんが、怪談が大好きで、『怖いシリーズ』とよく読むんですけれども、最近特にこう思うようになってきました。まあ幽霊はいるだろうということは一応確信しているのですが、ただよく考えると、幽霊というのは、それこそ場末のビジネスホテルで休もうとすると、夜中にピチャピチャと水の音がする…いやいや、シャワーの栓は止めたはずなのにと思って、入ってみると、髪がべったり落ちているとか、もしくは長い髪の女の人がシャワーを浴びているが、全体的に透けて見える…という恐怖とか、または深夜ドライブの山道本当は白い服だったのが、真っ赤な血に汚れて深紅の服になった、そういう真っ赤なワンピースを着て、顔が半分つぶれた……要するに、交通事故で死んだ女の人の幽霊が、峠道の脇の昔ながらの電話ボックスの横に立っている……なんていう、ちょっとオーバーに脚色した様な怪談話をよく見かけますよね。

幽霊というのはいて、そういう怖い、恐怖を催させるような、心臓を鷲掴(わしづか)みにされるような、そういう怖い感じで登場しますが、これはなぜなんでしょう?

なぜなんでしょう?と言っても、それは当然人間を怖がらせるためとなる訳ですが、では、すごく単純明快に言えば、死んだ人間はみんなそういう風に怖い恐ろしいような存在になるのでしょうか?と言っても、何か恨みやつらみを以て死んだ人に限るとは思いますが、確かに事故死ばかりとは限りませんし、男女の痴情のもつれで男性に殺された女性の幽霊、または逆に女性に殺された男性の霊がそういう風になるのかもわかりません。

また、病院で病気で亡くなった人もいるでしょう。でも、病気で亡くなった人もその病室の整理整頓されたシーツの上に正座していたり…そしてやはり怖がらせるような、とにかく幽霊は、生きている人間を怖がらせるような存在になってしまうんですが、そういうことを考えると、そういうふうにしか人間を怖がらせられないのかと思ってしまいます。

と言いますのは、もっと論理的にちゃんとスーツを着た幽霊が出て来て、そして『私は死んだ人間です』とか言って、延々と自分の状況を述べるとか、恨みのある人の前に現われた時も、ちゃんとお前によってこれこれこれで殺されて今お前を呪っているので、また今度いついつのときに出てきてやるぞ‼などとそういうふうに説明したりするような、そういうインテリの幽霊…と言うか、ちゃんと論理的に、穏やかな普通の口調で話せる、もっと標準的といいますか、そういう幽霊は冥界にはいないのでしょうか

(第1回目はここまでです。第2回目に続きます。)

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