(51)タブー( ゚Д゚)…『波の塔』(松本清張先生)の最終章を書き加えました‼

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タブーでしょうか?加筆するなんて( ゚Д゚)

松本清張さんの波の塔を読みました 何回もドラマにされたこともあるという、格調高いロマンスという評判の素晴らしい小説でした。松本清張さんはいろんな人の解説によると、本当に“多作”というか、日本で一、二を争うような多作の作家ではないかと言われております。本当にロシアとかに生まれていたら、ドストエフスキーに匹敵するくらいなんでしょうか。それを上回るような多作の作家として本当に有名なんですね。わたくしは、こういう分野、探偵小説というか推理小説というか、犯罪モノを、江戸川乱歩先生とか横溝正史先生、そういう人から入ったので、松本清張さんはあまり読んだことがなかったのですが、ここ3年ほどでかなりもう100作品以上以上読んだのではないでしょうか⁉ 

『神々の乱心』という未完成の作品などもあって、それも結構素晴らしい作品でした。わたくしは、森村誠一さんなんかも大好きでよく読むのですけれども、解説の人によると、森村先生も松本清張さんに憧れてそういうのを目指したという時期もあるようで、どこかの賞の授賞式の時に松本清張さんと顔を合わせたんだけれども、1言も声をかけてもらえなかったというようなことを、どこかで書いておられたような気がします。

彼らの書き方は、『社会派サスペンス』というのでしょうか⁉ 横溝正史先生や江戸川乱歩先生のように、金田一耕助さんとか、明智小五郎さんというような特定の探偵が出てきて、その探偵が、多くの謎をはらんだ複雑な事件を紐解いていくのではなく、何か犯罪が起こってその犯罪に巻き込まれた被害者の妻とか、それを取材する雑誌記者とかそういう人が事件を解決していくという構成です。松本清張先生の作品では、金田一耕助さんのような、壮大な犯罪、サスペンスよりは、もっと日常にありそうな事件を題材に扱っています。そして更にはやはりたくさんの作品を書くとそうなる傾向なのでしょうか、殺人というのはやはり、色々なドラマとかそういうものでは扱われる題材ではありますが、身近ではそんな頻繁に起こるものではありません。なので殺人事件というのは、扱うのも限りがあるのでしょうから、松本清張先生もそうですが、中期以降は殺人事件が起こらないような作品もたくさん書かれていらっしゃいます。『波の塔』もそんなひとつで犯罪は確かに多少出てくるのですが、大きい政治的な社会悪を描いているような作品です。

そして、今回その最後の部分を、恐れ多くも加筆してみました。例えば、文春文庫で発刊されている本でしたら、最終章は359ページの『樹海の中』という章で、それが2部構成で、つまり、その2部は373ページで始まっており、2ページを経た375ページですべて終了しておりますが、今回わたくしが、その後に『過去の想い出』という更なる1章を付け加えてみようと思います。すなわち、最終章ともいうべき続編を作ってみました。

30年の歳月が流れた。結城(ゆうき)頼子(よりこ)は隣にいる頼もしい男性、彼女の夫をそっと横目で見た。出会った時とほとんど変わっていない、優しい夫だった。頼子は樹海に入って死のうとしたのだけれども、それを、直前にコーヒーを所望したユースホステルの青年に見つけられて、一命を取り留めたのだ。そしてやがて2人は結婚し、 子供も生まれ、今その子供はもう大学受験を終えて、東京の大学に進学することがすでに決まっていた。頼子の夫の結城(ゆうき)(やす)()とは離婚が成立し、彼は出所してまた元の稼業に戻っていたが、長い刑期で彼も丸くなり、今では、時々心から頼子を支援して、多少の手助けをしているのだった。

 一方、小野木(おのき)喬夫(たかお)は、頼子とはぐれたあの日以来、うつ病になって、1年間くらい入院したのだけれど、その時にかいがいしく看病した田沢(たざわ)()香子(かこ)と結婚し、もう10年の歳月が流れていた。 今は東京から離れた、地方の小さい支局で、最後までやさしかった石井検事の紹介で、細々と事務書記官を務めていた。輪香子に一時心を燃やした辺見(へんみ)(ひろし)記者はというと、それは佐々木(ささき)和子(かずこ)とめでたく結婚して、小野木夫妻とともに4人は今も一緒に遊びに行く 家族ぐるみの付き合いをする、仲の良い家族になっていた。 田沢輪香子の父は刑期を終え出所して、今は畑違いの民宿を営んでいる。

全く30年前のあの年月が嘘のような平穏な日々が続いていた。

小野木喬夫は思う。そしてそれは頼子も一緒だったろう。恋愛とは一種のはしかのようなものだと思う。あんなにも不思議と燃えたあの日々は、全く夢のようで、今は平穏な時間が流れている。もちろん平穏な時間の中にも、家族が病気になったり、事故に遭ったり、気が動転する場面がいくつもあったけれども、平均してみればそれもずっと遠い昔から続いている平和な暮らしの一端のようなものであった……(おわり)

こんなにも有名な不朽の名作に続編を書き加えるなどは、ファンや当事者にすれば、言語道断のことと思えるけれども、しかしこういう小説を読んだあと、その余韻というか、それぞれの読者の心の中には、登場人物はその後どうなったんだろうかという、その続編が浮かぶだろうから、それをプライベートの意味で、自分の心の中に想像できるような有様を、自分専用のブログに書いたとしても、それは堂々として良いことだと思う。 この続編を読むと何故か、書いたわたくし自身、涙が出てくる……。 とてもとても悲しい…。何故でしょうか?こんなにすべてが丸くめでたく収まったのに、わたくしは本当に悲しくて涙が出ます。

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