(224)ダンス関連…相当マニアックな記述(音楽の捉え方について)【第5回】

ダンサー内藤の解説シリーズ

では実際具体的にどのような事をいうのかと言うと、それは多くありますが、例えば、オンビート・オフビート的な事もそうです。紙数が限られていますので、あまり多くは語れませんが、例えば上級のひとつの理解としては、ワルツであれば、ナチュラル・ターンの第1歩、男性右足前進は、音楽の第1ビートが演奏される瞬間の1で、まず右足と左足の中間に体重を置きます。(いきなりドカッと踏みつけて乗らない)そして、その第1拍目の後半(1&の&。第1拍目を8分音符2個に分けるならば、そのふたつめの8分音符)で、初めて全体重を右足に乗せるという訳です。これはあくまで一つの理解で、必ずしもこうとは限りませんが、好例です。日本人は単純明快すぎるのか、根性が入り過ぎるのか、歌舞伎(かぶき)調なのか、例えば一生懸命踊ろうとすればするほど、強く踏んで雄大に表現しようとするのか、この第1ビート目の瞬間に、足を全部使い切ろうとばかりに、ドカッと踏みつけます。これによって逆に連続的な動き(以下述べる様に、民族的特性から、西洋音楽とか西洋のダンスは、連続した動きを作る事が最重要)を断ち切ってしまい、不連続でドスドスしたムーブメントになってしまうのです。日本では、どちらかと言えば、瞬間瞬間が大切なので、とにかく一歩一歩を明確にクリアーに踏んで、それを(つな)いで、スムーズに動こうとはするのですが、踏む瞬間が強過ぎ、ある意味、安定し過ぎて、結果的に、ガタついた軌跡になる傾向がある様です。

ハッピーバースデーの歌にも恐るべき秘密が……( ゚Д゚)……

又別の一例として、例えば皆様は、『ハッピー・バースデー』が何拍子か、お分かりですか?というように石場先生は語られました。

多くの人は当然こういう3拍子だと思うでしょうね。

大体、ダンス音楽では3拍子の曲を4拍子に編曲する(例えば『フロム・ロシア・ウィズ・ラブ(ロシアより愛をこめて…007・ジェームズ・ボンドの映画音楽です。)』などは、ワルツの曲としても、スロー フォックストロットの曲としても編曲されています)し、ハッピー・バースデーの曲も、サルサのダンス界では“バースデー・サルサ”と言って、4拍子の曲で演奏され、そしてパーティ参加者でその月の誕生日の人を、主催者やゲストが踊って祝うという慣習がありますから、それならば、4拍子なのではと思われる方も存在するとは思いますが、原曲は、少し口ずさんでみれば簡単に判ると思うのですが、もちろん3拍子です。では、図1.の通りじゃんと思われるでしょうが、実際は違うのです。正解は図2.の(ごと)しです。

初めてこれを聴いたわたくしも想像を絶する感じでした…というと大袈裟すぎると笑われるかもしれませんが、ワルツで、第3拍めの準備歩から出るのに似ていると思いませんか?【編集部註…このキャプション【解説書き】は、現在付け加えたものです)

3拍子は合っているのですが、実際はこういう風に、想像を絶する様な異なる状況になるのです。これはひとつには、この歌詞の中で、大切な単語は(もちろん全部大切と言えば、全部大切なのですが、その中でも特に)『バースデー』と『ユー』なのです。なぜかって、当然バースデーを明確に発音しないと、今現在これは何の歌?何について歌っているか不明ですし、そして、次に重要なのは、“誰の誕生日?”を祝っているかという事ですから、その答えに該当する『ユー』が大事なのです。

それでここがとても重要な事柄なのですが、西洋音楽においては、そういう重要な単語を、第1拍目(強勢の部分)に合致するように配置していくのです。(一種の“倒置法”とも言えましょう。)もし、実際にハッピー・バースデーの楽譜を見てみたいという方がおられましたら、http://jp.everyonepiano.comを検索されると楽譜に辿(たど)()けますので、ぜひともご活用下さいませ。 (第5回目はここまでです。次回もさらに、西洋人と東洋人の音の把握の相違について解説していきます。)

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