(222)ダンス関連…相当マニアックな記述(音楽の捉え方について)【第3回】

ダンサー内藤の解説シリーズ

さて以下には、石場(いしば)(あつ)()先生の講習会から、ぜひとも皆様にお伝えしたい部分を解説します。本当は全部吐き出したい?!ところですが、紙数が限られていますので、最重要部分のみにいたします。こういう知識を皆様が共有して、ダンス音楽に関して、色々考えたり、更に学ぶきっかけになれば、非常に嬉しい事です。

石場先生は若い頃からチェロをされて、クラシック音楽に携わって、そしてオーケストラにも所属され、その中でこれから書くような英国人の音楽感性と、日本人の音楽の捉え方の民族的、生活経験などに起因する微妙な相違に、早くから気付いておられたの事です。その後私達の社交ダンス界とも深い接点を持たれ、近年では、ダンスパーティでのバンド演奏、音響の手伝いや、プロのセグエの音楽製作、社交ダンス音楽CD製作、ショーの構成、著作権の問題解決など、社交ダンス音楽のほぼ全般に深く関わってこられた、云わばダンス界の強い助っ人的存在の大先生です。(先生は1988年からダンス音楽にかかわって、皆様もご存知の『舞サウンド』などのCDを発行され、JASRAC(=ジャスラック…社団法人日本音楽著作権協会)から独立した著作権をご自分で保有していらっしゃいます。)

石場先生の著書『社交ダンスはリズムで踊れ!』のカバーです。この本は音楽に関して非常に勉強になるので、ぜひともお勧めいたします。皆様も是非一度お読みくださいませ。

石場先生は、お金があればヨーロッパに留学しようとされたのですが、クラシックは結構お金がかかるので、それならば自分が事務所を設立して、クラシックの先生や演奏家を呼べばいいと思い、実際、ベルリン弦楽四重奏団なども招聘されたそうで、講演にも随行し、ご自分もその中でチェロを弾かれたのですが、その頃から、『どうも日本人のやっている西洋音楽は、西洋人の本物と根本的に違っている』という感覚を一層強くされたそうです。それでその後自分でバレー団やオーケストラを組織され非常に勉強されたそうです。ラテン音楽にもめぐり合い、()(さご)(ただ)(あき)と東京キューバン・ボーイズや有馬(ありま)(とおる)とノーチェ・クバーナとも親交があり、現在東京センセイションというバンドを組織されていらっしゃるそうです。このバンドは、今は亡き、私達愛知県プロ・ダンス・インストラクター協会の大先輩である、澤田山(さわださん)()先生も名古屋に招聘したという事ですから、ムーン・リバーなどで、ダンス音楽を演奏されたのでしょうかね?

さて、石場先生がおっしゃるには、『社交ダンス音楽』というジャンルは無いとの事です。では私達の聞いているダンス音楽(のCD)は何なのかと言えば、それは、色々な有名な映画音楽や、クラシックなど多くの分野の曲や音楽を、社交ダンスが踊れる速度やテンポに無理やりアレンジしたモノで、そのために例えば、(私達プロでもあまり知らないと思いますが)『間奏』などが強制的に省かれているのです。

これはどういう事かというと、例えばCDやレコードのジャケットに、例えばルンバの速度やテンポが、(27 4+64 などと)書かれていますが、この中の4+64というのは前奏が4小節で、本編(本奏?)が2コーラスで、1コーラス分の32小節が2回繰り返されて合計64小節になるという意味です。しかし、普通の音楽であれば、実際は、2コーラスある真ん中に、『間奏』が入るはずなのですが、ダンス音楽では、感想を入れると、そこだけ静かになったり、休憩の様に弱い音楽になるので、その部分のみ振り付けを変えたりしないと、なんだか落ち着かない感じになるらしいことが想像できるでしょう。特にデモであれば、その部分は落ち着いた静かな振り付けをわざわざアレンジしなくてはいけませんし、競技会であれば、その部分だけ何かドヨ~~ンと沈んでしまいます。なので通常ダンス用の音楽では、間奏を無理やり(つぶ)して、コーラスをそのまま(つな)いでいるという事です。この様な構成になっているとは、僕も全然知りませんでした。(第3回目はここまでです。次回第4回目に続きます。)

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