(254)熱意が生徒をダメにする(第6回=最終回)

ダンサー内藤の解説シリーズ

さて、③高圧的な声にならないこと。…および④高すぎず低くて優しい声で話すこと。…これらについて、今回このトピックの最終回として解説します。

③は文字どうり高圧的もしくは威圧的な言葉にならないということですね。これはどういうことかというと、どうしても、例えば、ダンスの技術講習会とかダンスの足型講習会とか、または一般的にわたくしが、はるか昔、青春時代にしておりまし数学の先生などの授業を想像して下さると判りやすいと思いますけれども、ある意味当然ですが、その説明する内容に関して言えば、はじめてとかよく理解していない、できていないという状況の立場の生徒さんや受講生に対して、それを熟知している先生側の自分が説明するわけですから、非常に注意しないと、心の中にどうしても一部分『おい、ちゃんと注意を集中して、俺の言ってる事を一言一句漏らさず聞くんだぞ‼ そうしてさえいれば、ちゃんと理解できるように、きちんと説明してるんだから、逆らうんじゃないよ‼』みたいな気持ちが、どうしても生じてきて、それで声も大きくなる傾向があります

これは何も高圧的な意味で大きくなるのではなく、教室が広かったり、ダンスの講習会のスタジオが大きいと、後ろの方の人には聞こえにくいので、どうしても声が知らず知らずのうちに大きくなってしまうという事もあろうかと思います。ただし、こういう時にどうしても大きい声というのは相手を恫喝(どうかつ)するような……というと言い過ぎではありますが、制圧するような感じに……どうしてもなってしまう傾向はあるので、この点を非常に注意して、威圧的、高圧的にならないように、優しく、心の中に染み入っていくような話し方、声の高さにするという事ですね。

そのための方法が、④ですね。 あまり声を高くせずに、やや低い感じで優しく、心の中にしみ込んでいく、溶け込んでいくような声で話すように注意するといいのではないかと思います。  

確かにみんながワイワイ騒いでる様なクラスだったら、はじめに先生は、一回喝を入れるようなつもりで、静かにさせないとダメかと思いますが、大人が集う、しかも先生の技術を習いたいと、そういう、先生に対して初めから好意的な気持ちで来ている受講生にとっては、何も先生がしっかり説明しているのに、わいわいがやがや反抗して騒ごうという気持ちは皆無でしょうから、ちゃんと話す環境を整えれば、生徒さんは静かに聞いてくれるでしょうから、何も大きい声で強く発話する必要はないかと思われます

実際にわたくしも、いつもこういうようなことを考えて、講習会やレッスンをしていますが、最初、このような状況で、ある意味スロースタートで、ゆっくり話して、結構みんなできるようになって、熱が入ってくると、どんどん早口になって、どんどん声も高くなってきてしまいます。

まあ、それはそれで愛嬌と言えなくもありませんが、生徒さんも好意的でしっかり協力して、説明している内容や技術、足型などができるようになってくれば、たとえ先生がかなり大きい声で話したとしても、それを高圧的、威圧的、恫喝的などというふうには、生徒さん側は把握しないと思うので、それはそれでまあ順調に進むと思うのですが……。

ではここらへんまで細かく述べてきましたが、今回のこの話題はこれで終わることとします。

(第6回目=最終回はここまでです。次回からはまた新しいトピックにて、臨みます。乞うご期待!)

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