(253)熱意が生徒をダメにする(第5回)

ダンサー内藤の解説シリーズ

 それに早く(速い速度で)しゃべると、ただ単に、精密に、一つ一つの文章や単語がきちんと発音されているかというと、英語でいう『リエゾン』(=音の連結…例えば、like it《ライク イット》がライキットの様にくっついて聞える事)のような現象が起こり、単語同士がくっついたり、単語の省略化が起こります。例えば、以下のようなことが起こりますので、自分でも一度発音して確認してください。 『おはようございます』なども早口で言うと、『わようございまぅ』などと、聞き手には聞こえてしまいます。なので、ゆっくり話すことがとても大切なのです。

②単語を明確に発音すること……これはどういうことかというと、やはり単語の語尾があいまいになってしまいます。 例えば『昨日、高山公園に行ってきたんですよ。』という文章を早口や曖昧に言うと、 『んのう、高山こうぅに行って来たんだぅ…。』みたいに、“公園”が“こうぅ”みたいに聞えてしまいます

こんな風に。 聞き手には受け取られてしまいます。 実際に例えば、自分の親族、兄さんや母親と話している時などは、高山公園なども近くにある公園で、いつも口にしているのであれば、聞き手の兄とか母親も、『高山こうぅ』ぐらいに早口で言っても、『ああ、高山公園の事だな』と瞬時に脳が判断するので、なにも非常にゆっくり『た・か・や・ま・こ・う・え・ん』の様なゆっくりさで発音しなくとも、全然伝えたい事柄は伝わるわけですが、これが、ダンスのステップや技術の様に、はじめて聞いたり、きちんと説明しても判りにくいような内容であるなら、その中に聴き慣れている単語が出てきても、瞬時にその単語とは判別できないかもしれませんので、一つ一つの単語を、遅すぎるかもしれないと心配になるくらい、ゆっくり明確に発音する事は、何をおいても重要な訳です。

これも自分で多少早口とか、スピードを速くして喋ったのを録音して、それを発音した自分自身で、客観的に聴いてみれば確認できます。そういう訳で、特に単語の最後をわざとらしくゆっくり、そこでいったん発声を止めるような感じで言うといいです。 例えば『昨日、高山公園/ に行って/ 来ましたよ。』のようにです。

なにせ、くどいようですけれども、話し手が聞き手に伝えようとしていることの8割は新しいことです。 もし社交ダンスの足型とか技術の解説ならば、ほとんど100%新しいことと言っても過言ではないし、もっと深く言えば、何もこのように、技術とか、語学とか、学校の先生の様に新規なことを生徒に伝える……100%新しいことを伝えるということ以外でも、例えば『今日、主人は会議があるそうで、帰宅は10時以降になります。 』ということでも、当然知らない人に時刻を伝える訳ですから、聞き手は、帰宅は何時だろう⁉と耳を皿のようにして聞いている訳です。そのときに「午後10時」というような単語を早く発音すると、『午後ずぅ~』 という風に聞こえてしまい、そしてその後、聞き手が『今、10と言ったのだろうか?それとも6と言ったのだろうか?…』などということを、頭の中で確認しようとしているときに、『だから今日はあなたとの約束は守れなくなってしまいましたから、まことに申し訳ありません。』というようなことを早口でどんどん言われても、その部分は、また余計聞こえなくなってしまうのです

ちょっと細かく解説しましたが、単語を明確に発音するということはそういうことです。

(第5回目はここまでです。あと③、④も同様な感じなので、説明の必要は無いかもしれませんが、次回少しだけ解説します。)

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