ケーブルテレビの『日本映画専門チャンネル』とか『チャンネル銀河』というところで、よくわたくしの大好きな松本清張先生の、昔の、多分昭和40年代~60年代などに製作された、『火曜ワイド劇場』みたいな、1時間半くらいのサスペンスドラマを放映していますが、本当に合計すると50本とか60本になって、それらすべて非常に面白くて、とってもステキです。今回はその1つの『状況曲線』というのを観たのですが、びっくりしたことには、あの、今では刑事としての主演が多い、村上弘明さんが、とてもクールな悪役で、そして『ピアノ 売って~~♪ちょダイ!』のタケモトピアノのCMで有名な財津一郎(ざいづ・いちろう)さんが、ゆくゆくは自殺に偽装されて殺されてしまう、会社の専務みたいな役柄で演じていらっしゃった事です。
財津さんは好きで以前もよく見ていたのですが、こういうドラマで改めて久しぶりに見ると、とても素晴らしい演技をなさる俳優さんです。やはり、『てなもんや三度笠』とかのとにかく、お笑いを究めた芸人は、演技の『間』の取り方がうまく、非常に素晴らしいです。でも今は結構、病床に伏せっていたり、またそれでも元気に自分で生活しているというようなことを週刊誌で読んだりしています。何せタケモトピアノのあのCMは、あれを聴くと泣いている子供でも泣き止むというような穏やかな声で、『何でも貸します~♪近藤産興(こんどう・さんこう)のCMと同様に、すごいロングランの、昔からのCMになっております。
この『火曜サスペンス劇場』のようなドラマは、本当に昭和の香りがプンプンして、テーマソングなどを聴くと本当になぜか不思議に涙が滲んでくるような懐かしさを覚えます。考えてみると、森村誠一先生の『終着駅』シリーズで、片岡鶴太郎さんがモーさん(牛尾刑事なので、所内では同僚から“モーさん”というニックネームで呼ばれている)という刑事をして、そしておしどり夫婦で、その奥さんの役に岡江久美子さんがいつも 出演されていらっしゃったんですが、ご存知のように、岡江久美子さんは新型コロナウィルスの感染でお亡くなりになられてとても残念でした。本当に悲しいです。そういう片岡鶴太郎さんがいつも主演の刑事をされた『終着駅』シリーズという、やはりサスペンス劇場のようなのが最近までありました。今後もまた、別の女優さんが奥さんになって撮影は続けられるとは思うのですが、そういう意味で、森村誠一先生も、サスペンスドラマ世界では、幅を利かせていらっしゃいます。そして、どこかの小説評論に書かれていたのですが、森村誠一先生が何かの賞を頂いた時に、その懇親会か何かで、来賓か審査員として出席されていらっしゃった松本清張先生に挨拶をしようとしたとか、何か声をかけようとしたところ、向こうは全然知らない感じで、半分無視されたような状況になったというような内容のことを、その評論家の方が書かれていました。
森村誠一先生の小説も、非常に下調べが深いというか、情報量が豊富に下調べされていますが、徹底的に取材をなされるのでしょうね。例えば、以前読んだ小説に、“養蜂”業という言葉が出てきます。これはミツバチを飼って、トラックに乗せたりして、全国多くの地方を巡ったりする商売らしいのですが、そういう名前は、わたくしなどは聞いたこともないような職業ですから、普通の人だとピンと来ません。また、例えば東北の国道○○号線は、大体トラックが一日に大体何台の頻度で通行するとか、本当に詳しく取材されていて、そういう膨大な下調べがあって、綿密な殺人事件やその下地が練られて、そういう小説が書けるので、ある意味松本清張先生の影響を大きく受けていらっしゃると思われます。松本清張先生は大先輩だと思われます。そしてそれが大成功したかというと、素晴らしく森村誠一先生も多作で、多くの小説を書くとともに、前述したように、テレビでヒットドラマが数多く放映されております。
それに多少細かい事を書きますと、森村誠一先生の小説も確かに牛尾刑事とか棟居刑事とか、探偵ではなくて刑事なのですが、事件を中心になって解決する役の人はいますが、多くの小説においては、その事件に巻き込まれた人が事件を解決する主役になるという展開で、それは喫茶店のマスターであったり、主婦であったり、犯人の友人であったりとか色々あるのですが、そういうところは松本清張先生の設定に非常に似ています 。松本清張先生の小説に於いて、金田一耕助さんの様な探偵って誰?と尋ねても答えられませんものね。横溝正史先生とか江戸川乱歩先生の推理小説も草分け的で大好きなのですが、皆様ご周知のように、金田一耕助さんとか明智小五郎さんというような名探偵を登場させておりますが、松本清張先生の小説にはそういう名探偵は登場しなくて、やはり事件に巻き込まれた人や、普通の一般人が、事件解決の探偵役を務めるというかそういうスタイルになっていて、その点も画期的であるとよく評論などに書かれています。なのでそういう方法をある意味踏襲していらっしゃるのではないでしょうか、森村誠一先生は。
まあそんなことも思いながら観ております。松本清張先生のこの火曜サスペンス劇場などで放映された作品は、別にも作られており、その制作局も多岐にわたり、同じ小節が何回もドラマ化で作られています。興味のある方は、ドラマのタイトル(ほぼ小説のタイトルと同じですが、中には「家紋」がドラマのタイトルで、『死の枝』が小節のタイトルという風に、異なるものもあります。)“本清張 テレビドラマ”等で検索されると、より詳しいことが分かります。例えばこの『状況曲線』の次に『喪失の儀礼』というドラマを見たのですが、これは、なんと3回もドラマ化されていて、そのために毎回主演の俳優さんが異なるのですが、非常に興味深いことに、吉行和子さんという女優は、この内のふたつの作品で、他の出演俳優たちは違うのに、吉行さん1人だけ同じ役で共通に出ています。そういう面白可笑しいような情報もゲットできます。
この松本清張さん原作の火曜サスペンス劇場などのドラマによく登場する(=キャスティングでよく使われるという意味ですね)のは古谷一行さんで、勿論皆様よくご存じのように、後に、金田一耕助の役で大ヒットを飛ばした俳優ですね。この人はある時は、刑事になり、またある時は犯人になり、ある時は殺される役になるので、この種のドラマを同時期に見続けていると、何がなんだか訳が分からなくなってきます。ちなみに、俳優の村上弘明さんも、のちのドラマではほぼ全部刑事役なので、数少ない犯人役を見ると気が狂いそうになります。そして『誤差』『喪失の儀礼』『草』の3作品では、剛力彩芽さん、村上弘明さん、陣内孝則さん3人が、評判が良かったのか、人気トリオとして、この3作品全部に出演しているのですが、、3作品とも設定がまるで違って、陣内さんは刑事になったり監察医になったり、村上弘明さんは大体一定で刑事なのですが、(ただ、大元の作品に従うために、同じ警察署にはできないみたいで)名前とか担当部署が全然違うし、所轄の県も全然違うという設定で、これもまた真剣に見ていると気が狂いそうになります。わたくしは 3年ぐらい前から松本清張先生の作品を100作品ぐらい読んでおりますから、これらを後からこうして、ドラマで見るのは、とても楽しいものです。
あとで、日本映画専門チャンネルとかのケーブルテレビで、過去の松本清張先生のドラマをたくさん放映しているのを知ったので、小説を読んでからドラマを見たという経緯です。これを読んでくださるっている皆様の中にも、色々なタイプの方がいて多くの人は、ドラマを見た後にこの原作の小説とか作家はどんな感じかということが気になり、それで原作の本を読まれるかなと思うのですが、わたくしははその逆で、最初に松本清張先生の作品を既に100ぐらい読んで、その後にドラマを見ているので、多くのドラマで、だいぶ前に読んでいたので、明確には憶えていない時もありますが、『ああこれは原作では、交通事故で亡くなったという設定だったのに、ドラマでは喧嘩に巻き込まれて亡くなったことになっているな~』とか多少そういうふうに 改訂されているようなことにも気が付きます。
さてこの『状況曲線』という松本清張先生の作品は非常に深いトリック が使われているということでも素晴らしい作品で、ベッドの上に濡れた髪の女性の死体があるのですが、それは何とコンクリートミキサー車のドラムの中に温泉のお湯を入れて、その中に女性の死体を女性をハンモックのような状態で宙づりにして、運ぶという、想像絶するようなトリックが使われていて、それもとても興味深いです。
また、わき役で素晴らしい鶴田忍さん(名前からすると女性の様ですが、でっぷりしたおっさん俳優ですよ。)が出ていたりしてとてもそれも楽しいです。笑えるのは、(これは別のタイトルのドラマ『喪失の儀礼』に於いてですが)火野正平さんもドラマの中で女たらしの役になっているのですが、キャスティングの人も本当によく選んでいるな~と思います。また、この『状況曲線』において、村上弘明さんとか財津一郎さんが 抜群の演技などは当然だとしても、僕はこの中で先述の鶴田忍さんの、本当に自然な演技が大好きです。わたくしの大好きな俳優さんがいっぱい出てきますので、こういうドラマを見ている時間というのは本当にあっという間に過ぎゆきとても楽しい癒しの時間になっています!
いかに参考までに、これまでドラマ化されて、見た事のある、松本清張先生原作のドラマのタイトルを列挙しておきます。(尚、見たい方は、録画DVDをお貸ししますから、お申し出くださいませ。)
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